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□正義
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“正義”ってなんじゃ？
“正義”の為ならば殺しは認められていいものなんか？
“正義”ってものは、誰かの為に誰かを犠牲にする事なんかの？
小さい頃はCP9になる為の知識や体術を会得して、毎日を生き延びる事に精一杯で。
疑問なんか持つ時間なんて全く無かったんじゃ。
じゃが、正式にCP9に入り、初めて訓練所以外の場所に行って。
次第に、疑問……というか矛盾を感じるようになったんじゃよ。
本当はこんな事感じちゃいかん事だって事くらい、分かっとる。
じゃが、やはり考えてしまう。
仕事だからと言い聞かせて、とりあえず任務は遂行はする。
じゃが、考えることは止められない。
そんな考えが渦巻いている時に入った５年の長期潜伏任務。
“考えにケリを着ける、いい機会じゃ”
その時は単純にそう思った。
じゃが、実際潜伏してみれば、そんな簡単なもんじゃなく。
みんないい奴なんじゃよ。
何故そんな人達を騙して過ごさなければならんのじゃ。
プルトンの設計図？
そんなものは政府が勝手に欲しがっているだけで。
アイスバーグさんはプルトンなんぞ、作り出したりはせんし、無闇に外に出したりもせん。
わしの本能が、そう言っておった。
……ならば、わしらは何のために？
本能に従ってしまえば、政府を裏切る事になる。
今まで、疑問を感じながらでもこなしてきた任務が、全て、間違った行動という事になってしまう。
ただの、"ヒトゴロシ"
結局、自分がかわいいんじゃ。
それを認めてしまえば、自分のしてきた事が全て覆ってしまうと、知っていたから。
だからワシは"正義"を背負うCP9として、任務の遂行に意識を向ける。
…………じゃがの。
船大工の時に言っておった事の全てが、嘘であったわけじゃないぞ？
本当の事だって混じっておるんじゃ。
おぬしは、それに気がついてくれるかの？
気がついてくれたとしても、おぬしにはもう会う事は出来んが。
…………今夜で、最後じゃ。
何もかも。
さよなら、じゃの。
この町とも。
あんたとも。
あんたの事は本気じゃった。
さよなら。
―――" "
Fin