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□流れた涙が自分のモノだと気付かなかった
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いつもいつも思い出す。
俺とは正反対の色を持つ男。

“伊達政宗”

俺の好敵手。

その強さに惹かれ、乗り越えたいと。

度々手合わせを申し込んできた。

その度に、その気持ちとは別のモノが湧き上がり、大きくなっていく。

これは、なんだ。

何が大きくなっていく?


………分からない。

ならば、俺は俺のやり方でこの答えを見つけてみせる。

この次の戦い。

この次の戦いで、見つけてみせる。

手合わせなど、甘いものではない。

最後の戦。

御館様の天下統一。
成し遂げるため。

何としても、勝たせていただく。

真田幸村、いざ、参る!!














「はっ…………俺の、負け………だ……。結構、楽し…かった、ぜ……じゃあ……な、真田……幸…む、ら…………」

俺は、勝った。

いや、武田が勝ったのだ。

それなのに……。

何故。
何故心から喜ぶ事が出来ない………っ!!

いつの間にか佐助が側で何かを言っている。

今の俺には、何かを通しているように、はっきりと聞こえない。


ーーーーーポタリ、ポタリ。


血の染み込んだ地面に新たに染み込んでいく、血とはまた別の水滴。


雨、か?

いや、違う。

これは………











あぁ。そうか。

今なら、わかる。

今まで分からなかったあの答え。















さよなら、政宗殿。














流れた涙が自分のモノだと
気付かなかった

(俺は、政宗殿を好いていたのだ)







御題配布元『空をとぶ5つの方法』
 

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