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□それぞれの…
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病院内はやはり、患畜で一杯になっていた。
その患畜の間を縫うようにせわしなく鉄生達は動き回っている。もちろん、その中には陵刀もいる。
鉄生は無意識のうちに視界の中に入ってくる、陵刀の姿を目で追っていた。
そんな鉄生の様子に、いつもなら気がつくはずの陵刀は全く気づいていなかった。
12月に入ってから毎日が忙しく、あっという間に”クリスマス”という日が間近に迫っていた・・・・・。
その日もいつもの木陰で遅めの昼食をとっていた鉄生は、向こうの方からこちらに向かってきている人影に気がついた。よく見るとそれは、陵刀であった。
「やあ、鉄生君vvvこう毎日忙しいとほんとに疲れるよね〜。君とまともに話すのも久しぶりだしv」
陵刀はいつもの調子で話しているが、言葉の影には疲れがはっきりと出ている。
普通の者ならばこの笑顔で完璧に騙すことができ、気がつきはしないが、鉄生は敏感に陵刀の疲れを感じ取っていた。
「あんまり無理すんなよ。無理してこっちが倒れたら助けられる命だって助けられなくなるぞ?それに、お前が倒れたらオレだって心配すんだぞ!!」
突然の鉄生の言葉に驚いた陵刀だったが、彼のいった言葉の意味を理解し、さっきのような嘘めいた笑顔ではなく、本当の笑顔を鉄生に向けた。
「ありがとvvv鉄生君が心配してくれるなんてすっごいうれしいよvvvvvこのままここで食べちゃいたい」
「いや!食べるなっ!!つーか元気じゃねーか!!心配して損したぜ!!!」
口ではそういっていても、鉄生が陵刀を本気で心配していたというのがまるで隠せていなかった。話題を切り替えるように、鉄生はいつも昼を食べるときに持ってきていたカバンの中をあさっていた。
陵刀はそれを何をしているのかと思い覗き込んだ。そして、カバンの中から出てきたの奇麗にラッピングされていた小さな箱だった。鉄生はそれを陵刀に差し出す。
「・・・・・これは?」
分けが分からず陵刀は鉄生が取り出したものを見つめた。
「クリスマスプレゼントだよっ!!!どうせ仕事で忙しくて貰えないだろうから陵刀にやるよ/////]
そう言われて陵刀は今日が何日かを思い出す。そして今差し出された物の意味を理解する。