ウタリ
□神に愛された者の末路
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硝子に触れた。驚く程冷たい。
俺は奇妙な事に気が付いた。
この硝子には、色が付いている。
だから中の様子がうかがえないのだった。
しかし俺の記憶ではこの硝子は透明だったはず。
それに所々では色の付いていない場所もあった。
そこから、中を覗き込む。
「‥‥」
息を、のんだ。
四人の、少女達。
少女達は目を見開きこちらを見ていた。
濁った生気のない瞳で、真っ黒な髪の少女達は黒いペンキをぶちまけられた中じっとこちらを見つめている。
否、ペンキなどではない。
これは、血だ。
黒だと思っていたものは鈍い赤だった。
四人の少女達は腕や耳をそぎ落とされて絶命していた。
俺はよろめき、背後にあった機械にぶつかった。
その瞬間遠くで大きな音が響く。
「久しぶりだね、ガイ」
背筋に悪寒。
女のような甘い声。
俺の名前をそんな声で呼ぶような人間を、一人しか知らない。