ウタリ

□「神のゴミ捨て場」
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 額からぬるりと何かが伝う感触がする。
確かめなくても分かる。
血だ。

「何事だ?」
「お客さん、シートベルトでもつけておとなしくしていてください!」

 無茶なことを言う。
 ものすごいスピードで景色は流れて行く。
かといって目まぐるしく景色が変わっているということもなく、
背景に存在する雲がそれなりのスピードで流れているだけだ。
 後方に目をやると後輪が乾いた砂塵を巻き上げながら狂った動物のように走り回っているのが分かる。
 何台かの
(この機械車よりも質のいい)
機械車がこの機械車を取り囲み、
分厚い発動機の音を吹き鳴らしながら遊びで狩りをするかのようにこの機械車を追い立てる。
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