ウタリ
□闇の追跡
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肩から行き止まりに激突し、ガラクタの山を崩す。
それを抜けると市街地のはずだった。
ある程度の地理は頭に入っている。
一般市民の多い市街地に入ってしまえばまく事も可能になるし、
最悪向こう見ずに発砲されるような事態は防げるだろう。
人通りの多い大通りに入ったがティラを担ぎ上げたまま走る。
邪魔そうな人の声と驚いた人の声、面白そうな人の声や全く無関心な人の声が混じり合って
鼓膜を揺らす。
ティラは人に当たらないように身をよじりながら
(それでも当たっていた)
落ちないように必死につかまっていた。
「ガイ!危ない!」
言葉を終えるか終えないか、どちらが早かったのだろう。
「きゃあああああああっ!」
斜め前にいた人間が、倒れた。
綺麗な赤い髪をした男だった。
血を吐いて。
腹から血を吹き出して。
倒れた。
「また来る!」
ティラの声に、
とっさに身を伏せた。
また、道路が赤に染まる。
長い金色の髪の女だった。
道路に流れ出した血で、金色の髪が赤く染まった。