ウタリ
□闇の追跡
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目をそらす。
俺は走った。
駅に向かって、走り続けた。
発砲音と人々の悲鳴が聞こえる。
俺の後を追って耳から離れない。
吐き気を覚えたが、足を止める事はしなかった。
恐かった。
ただ、恐かった。
小路を走り、抜けると巨大で白い建物が現れる。
残っていた人々は発砲音に何事かと目を向け、叫ぶ。
建物の入り口まで一気に走り抜けると紺色の制服を着た駅員が驚いた顔をしてこちらを見た。
「はやく!」
駅員は一瞬ぽかんとして、俺の形相を確認した途端慌てて二枚の切符を受け取り
パンチで穴を開けると震える手で差し出した。
ひったくるようにそれを奪うとホームに向かってまた走る。
列車の音が聞こえた。
ブレーキの甲高い音が聞こえて、俺は速度を上げる。
最終列車だった。
これに乗れなければ、まずティラを救う事は出来ない。
「ガイ!」
ティラの声に、一度だけ振り向く。
クロードが居た。
怒りに満ちた表情で、俺に銃口を向けている。