ウタリ
□殺人者は誰だ
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ランプの黄色い光に照らされて、眠る少女。
絵画のようなその光景を見るうちに、
俺はティラの言葉を思い出していた。
あたしね、悪魔の娘なんだって。
文明が充分に発達した現代に悪魔という存在は一笑に付すものだ。
しかし、と
俺の中でそれにブレーキをかけるのは、
皮肉ながら俺の存在だった。
女神がいるのならば悪魔もいるだろう。
その考えが頭の中を離れない。
俺が全く無関係な人間なら。
そう、人間ならば不老不死とて
ただの頭のトチ狂った人間達が考えた妄想と片付ける事ができたのだろう。
しかし俺は実際に不老不死で、
数えるのも面倒臭いほどの年月を過ごし
吐き気がするほどの人との別れを味わった。
事実であると考えられるほどの知識はあった。
その上ティラのチカラを目の当たりにし、
それでもまだ悪魔などいないと言えるのか。
‥‥むしろ彼女こそが悪魔なのかもしれない。
その考えを舌打ちとともに振り払う。
そんな訳があるはずがない。
「ガイ」
気がつけば、
ティラがこちらを見ていた。
先程の考えていた事を思い、どきりとする。
「なんだ?」
なるべく平静を装いながら、俺は答えた。