ウタリ

□殺人者は誰だ
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 黄色の光が、ティラを悲しげに、儚げに見せる。

「あたしのせいかな」
「何が」
「たくさん人が死んだ。
あたしが、逃げたから」

 眼を細め、ティラを見やる。

「そう思っているのか」
「え?」

 驚いたように俺を見て、
そして躊躇いがちに頷いた。

「間違ってる」

 それだけ言うと
俺は窓の外に視線を移した。
暗い闇が広がる窓の外に反して、窓は様々な姿を写して見せていた。
例えば、ティラとか。
 困ったように俺を見つめている。
きっと言葉の続きを待っているのだろう。

「お前は、自分自身が実験台になって、それでいいのか?
嫌だろ。
なら逃げたらいい。
逃げ続けろ」
「でも逃げたら人が死ぬんだ」
「悪いのはお前じゃない」

 目を見て、言う。

「クロードが、レイが、その上の奴らが。
お前を不幸にさせて、それで人を殺してる。
俺も全く悪かった訳じゃない。
今回人が死んだのは俺の所為だ。
だけどな、その原因を作ってるのは誰だ?
あいつらだ。
そうじゃないのか?」

 早口にまくし立てると
ティラは目を見開いて、頷いた。
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