ウタリ
□白の都
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部屋はやはり一つしか取らず、
しかしやはりトリ・トルでとった部屋よりは宿らしいとよく分からない感想を覚えた。
一階が食堂で二階、三階が客室という作りだった。
二階にされた部屋に上がると、その部屋は白い漆喰の壁で
俺の胸より下の高さから飾り木が貼り付けてある。
時計が反対に回り出したのかと思う程古風でゆったりとした空間だった。
窓から外を見ると神殿がはっきりと見えていた。
「綺麗だね」
ティラが眼を細めて言う。
綺麗だったが、
あまりにも眩しかったのでカーテンを引いたらティラに文句を言われた。
仕方ないだろうと思いながらもカーテンを開けてやる。
「ガイはここに来た事ある?」
「ある。
大体の国にはな」
質問を適当に受け流しながら銃とナイフの手入れをする。
ナイフは一本だけ刃が欠けているのが見つかった。
何かしらに使えるだろうと他のナイフとは避けて片付ける。
銃を分解して掃除しているとティラが外に行きたいと言い出した。
「これが終わったらな」
「早くしてね。
今日パレードがあるみたいだから」
「パレード?」
カーテンが風に吹かれて翻った。
強い風で、ベッドに拡げていた銃の部品が
いくつか転がり落ちる。
「何やってるんだよ、
余計に遅くなっちゃうじゃないか」
ティラの非難の声が上からふってきた。