ウタリ

□死の灰
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 ひらひらと、
神の芸術を模した人間達の愚かさが舞い落ちる。
寒冷と恵みをもたらす神の息吹に酷似した毒。
神の名を借りた人間ですらじくじくとその美しい毒に蝕まれる。
 真摯な顔つきで空を見上げる少女。
ただ灰が舞い落ちるのを見つめ続ける彼女の瞳にはこの死の灰がどう映っているのか。
穢れか、それとも祝福か。
 天上を仰ぎ見て、そしてすっと瞼を閉じる。
ゆっくりとした動作で顔を下げる。

「ガイ」

 こちらを見、柔らかに微笑む。
素直に美しいと感じた。

「行こうか」
「そうだな」

 軽く答えて進み出したティラの後ろを歩く。
足の長さが違うので何度も追いつき、追い越しそうになりながらティラの後ろを歩いた。
前に出てティラの姿を見られないのは大変残念に感じるだろう。
白の街に溶け込んでしまいそうなティラは、恐ろしい程この場所に相応しい。
 大通りに出ても、灰が降り始めただからだろうか。
人の姿はまばらだった。
それでもティラは立ち止まることなく今度は神殿の方向へと歩き出す。
上り坂になっていて少々辛そうだった。

「ねえ、向こうの方には何があるの?」

 ティラは神殿の方向でもなく駅の方向でもなく市街地の方向でもない、
白い森が広がっている方向を指さした。
神殿に近づき街の全容を見渡せるようになっていたので
死んだ土の色が覗いている所を確認して、頷く。
近くにいくつか民家が見えた。
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