ウタリ
□死の灰
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ティラが坂道の上で手招きしていた。
光がやたらに眩しく感じられ目を細める。
神殿に着くと思った以上に人が集まっていて少し驚いた。
美人と名高い三女のユリファを目当てにやってきた男どもと、
色男で放浪癖のある公には滅多に姿を見せない事で有名な長男のアトリグを見ようとやってきた女どもで
いつもは静かなはずの神殿は賑わっていた。
「神殿に入る為にここで御輿を降りるからな。
顔を見るには好都合って事か」
「これじゃ見えないよ」
「考える事はみんな同じってことだ」
とりあえず隙間を縫って人が少ない方へと移動する。
「ガイ、穴場とかないの?」
「無い事もない」
背の高い女の横を通った時にそう問われる。
確かに穴場がない事もない。
ただ、少々危険な場所であるが。
「少しくらい遠くてもいいから
そこに行こうよ」
「時間かかるぞ」
「どれくらい?」
「少し」
「じゃあいこうよ。
もうすぐパレード来ちゃうし急がなくちゃ」
軽く舌打ちしてティラの腕を掴む。
こうでもしなければはぐれてしまいそうだ。
「途中で文句言うなよ」