ウタリ

□地下遺跡
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 不老不死と言えど傷の回復と生命力以外は成人男性の基礎体力を上回らない俺の身体。
もしこの身体に加えて異常な能力があったとしたら、俺はどう思っていたのだろうか。
 或いは、喜んでいたかも知れない。
 或いは、絶望していたかも知れない。

「いくぜ」

 俺とカゼリトは向かい合うように立ち指を溝にはめると力一杯引き始めた。
 ずるずると重たい音が辺りに反響する。
指先が恐ろしく痛かった。
カゼリトは少し苦しそうな表情を浮かべていたがさほど難なく扉を動かしていた。
見た目よりは力かあるのだなと少し呆けた頭で考える。

「大丈夫?」

 人が通れそうな隙間が開き、俺は疲労に腰を下ろした。
指が強ばり、少しの間は細やかな仕事は出来ないだろうと推測できる。

「指が痛いな」

 心配そうに問いかけるティラに素直な状況を伝え、辺りを見回す。
 白の壁。
一面にレリーフが施され、苔が生えていても
それははじめからそうだったのではないかと思える程に美しい。
芸術の集大成。
そう呼べそうだった。

「家とかまんま残ってるからさあ、使えそうじゃん?」

 依然肩をぐるぐる回しながらカゼリトが言った。
確かに保存状態もすこぶる良い。
懐中電灯の光をレイからビームに変えて、地面に置く。
辺りが照らされて、様子がよく見える。

「これからどうするつもりだ?」

 俺たちはこれからしばらくこの場所に隠れる事が出来るが、
カゼリトは「アトリグ」としてグリ・エスタに来ている以上、色々しなくてはならない事があるはずだ。
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