ウタリ

□狭間の塔
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 続いてナフィーがその僅かな隙間から無理矢理に身体を出していた。
カゼリトは機械車の中だ。
確認すると両の手を上げ、こちらに投降の意志がある事を示す。

「動くな」

 ずらりと銃口を向けられて俺は肩を竦める。
ナフィーは両手をだらりと降ろし銃口を見据えていた。
カゼリトは、機械車の中。

「出迎えご苦労様。
ティラは何処だ」
「喋るな」

 実験体であるナフィーが撃たれる事はないだろう。
そして俺も不死の身体である以上、撃たれても問題はない。
カゼリトは、この国の次期セニム・クリムト=アトリグ。
怪我はともかく命まで取られる心配はない。
 つまり、俺たちにとって
その脅しはまったく不足と言って違わなかった。
 俺はカゼリトからもらった煙草を取りだしてポケットからライターを取りだした。
どこにでもある、プラスチックの容器で出来たライターだ。
煙草をくわえ、火を付ける。
その一挙一動に銃口が反応してねらいを定めている。
俺は苦笑して紫煙を吸い込んだ。
肺に広がるいがらのような味。
たまらず俺は咳き込んだ。

「不味いな、煙草って」
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