ウタリ

□神に愛された者の末路
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「レイ‥‥」

「気に入ってくれた?
僕の作った芸術作品」

 レイがさらりと髪を揺らして尋ねる。
題名は、そうだね。「神の名を騙った物たちの末路」。
よく見るとレイの顔にはティラに傷つけられた痕が残っていた。
 そしてレイは急に目の光を入れ替え自分の足の下にいる人物を睨みつける。
先程の大きな音は、レイがナフィーを蹴りつけた為に生じた音らしかった。

「駄目な子だなあ。
勝手に出歩いてはいけないとあれ程言っただろう?」
「ごめ、なさい‥‥」
「失敗作が、こんな服を着てるんじゃないよ」

 ナフィーの髪の毛を引っ張り上げ、服を掴む。
力にまかせて、その服を破いた。

「この服、どうした?」

 ピンク色の布きれを見ながらレイは聞く。
ナフィーは咳き込みながら、クロードの名前を絞り出した。
レイの目がまた変わる。
 押し黙ったまま布を見ていたかと思うと破れた服をまた掴み、
ナフィーの身体に未だ残っていた服をはぎ取った。
そして露わになった腹を、膝で蹴り上げる。

「ふうん、ダル・ハークに行ったって聞いたら、こんなの買ってもらったんだあ。
よかったねえ、優しいパパがいて」

 乱雑に髪の毛を放るとそれに繋がっていたナフィーの身体も床に叩き付けられる。
ナフィーは弱く咳をしてぐったりとしていた。
口の中を切ったのか、唇に血が滲んでいる。

「ナフィーはクロードが連れて行っちゃうし鼠は上の階に閉じこめられちゃうし。
あまりにも暇だったから、これ殺しちゃった」

 狂気めいた輝きを瞳に映してレイは言う。
これ、とはあの少女達の事だろう。
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