ウタリ番外編
□トリ・トル旅行記
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「ナフィーさん」
エドはどちらかと言えば長身で、 ナフィーは見上げなければ顔を確認する事ができない。
手足もひょろ長く、顔も童顔で頼りない。
しかし彼は曲がりなりにもナフィーの護衛であった。
大きな掌はかたく節くれだっているし、妙に長い手足もちゃんと筋肉がついている。
ナフィーはちらと一瞥をくれただけだったが、エドは少しも気にせず言葉を続けた。
「今日はね、どこでも好きな場所に行きましょう。ケビンさんからお金もらってきましたから」
「‥‥人のお金だからってそんなに遊ぶの」
違いますよぅ、ケビンさんが色々行けって言ったんですからあ。
唇を尖らせて訴えるエドだったがナフィーもやはり気にしない。
さらりとした髪を揺らして辺りを見回すと一点に向かって指差す。
「私、あれが食べたい」
それは、アイスクリーム屋の看板だった。
「はい、分かりました!」
喜色満面、まさにその言葉に相応しい笑顔でエドはナフィーの手をひいた。
彼女の目がほんの少しだけ見開かれる。
しかしすぐにいつもの目に戻ると遅れながらもエドについて行った。