ウタリ番外編
□トリ・トル旅行記
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ナフィーは緑色の抹茶アイスを頼み、エドはピンク色をしたラズベリーのシャーベットを頼んだ。
灰色のスーツにピンク色はひどく不似合いだと思ったが、ナフィーは何も言わずに緑色をスプーンですくう。
ナフィーはカップで食べているがエドはコーンだった。
早くもふやけてきたコーンがエドの手をピンクに染める。
ベンチに座った二人は、どちらともなく溜め息をついた。
「オレもカップにしたらよかったです」
カッターシャツの袖を汚し、エドが呟く。
一度ナフィーも注意した方が良いだろうかと考えたのだが、さすがにエドも二十歳を越えた大人だし汚す事もないだろうとやめたのだった。
いつも食べ終わるのが遅いのは猫舌のせいだと思ってもいたのだ。
「ああっ!」
灰色のズボンにピンクが落ちた。
それを拭こうとした手もピンクだった。
ナフィーは無言でハンカチを差し出す。
「ありあとーごらいます!」
「‥‥口のまわりも」
「すいあせんっ」
冷えたために舌のまわりが悪いらしい。
白いハンカチをピンク色に染めながら「なひーはん、なひーはん」とナフィーを呼ぶ練習をする。
そんなちぐはぐな二人を見て、道行く人はくすくすと笑っていた。