ウタリ番外編

□青空と炭酸飲料
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 ここはダル・マディス。
トゥーラ・マティニに隣接した乾燥地帯。
じりじりと焼きつける太陽は本当に鬱陶しい程だ。
 白い建物から出るとその日差しにうんざりする。消毒液のにおいの充満した建物とどちらが良いかと問われれば、それもまた別問題だが。

「ジェフ!」

 声のかけられた方を見ると数週間前に退院した友人がいた。
ビリーは足にギプスをつけ、松葉杖をつきながらこちらに歩いてくる。

「なんだ、わざわざ来なくても良かったのに」
「せっかく来てやったのにご挨拶だな。ま、午前中に病院に来たからついでだし待ってただけだけどよ」
「なら気にすることはないか」

 照れ隠しに軽口を叩きながら表通りを歩く。
ドリンクスタンドで炭酸飲料を買うと公園のベンチに座り込んだ。
木陰になって心地がよい。

「ああ、そうだ」

 ジェフはポケットから紙幣を取り出すとビリーに押し付けた。

「機械車の修理代、足りないと思うけどよ」
「やめろよ。そんなのいらないって」
「こうでもしなきゃオレの気がおさまらねぇんだよ」
「でも‥‥」

 二人は紙幣をいったりきたりさせていたが、やがて同時に溜め息をついた。
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