短編

□合わせ鏡
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夜の0時に合わせ鏡をすると未来の自分が見えるという。
―合わせ鏡。それは地獄の始まり。
今日もほらそこに3人地獄行きの切符を買おうとしてるよ何も知らずに。

「ほら舞、すもも、早くぅ。ほら急がないと0時になっちゃうよ」
杏が声をひそませて言う。
「は、早くって言われても、夜の学校って不気味なんだもん……」
ガタッ
「きゃー出たー」
そう言って李に抱きつく。
「おい、舞落ち着けって、お前が椅子さわっただけだろ」
李が呆れたように言う。
「だっ、だって怖いよ」
舞が怖々言う。
「大丈夫だよ。今は何にもいないんだから」
杏が慰めるように言う。
「ほ、本当に?何にも出ない?」
「分かんない。でも今は出ないよ」
チリン♪ チリン♪ チリン♪ チリン♪
「ね、ねえ、今鈴の音しなかった?」
舞が泣きそうな声で言う。
「気のせいでしょ」
杏が後ろから言う。
舞がそんな事無いと杏に振り返って言おうとして途中で言葉が消える。
「舞?どうかした」
「う、後ろ。い、いる」
「何が?」
「お、お化……け。キャー」
そう言うとしゃがみこんで泣き出してしまった。
「舞!ほらよく見ろ」
李が舞のほうを振り返り持っていた懐中電灯を舞の指差した壁にあてる。
「ただのシミだろ。しかもこれ作ったのはお前だろ?自分の作ったシミ見て泣いててどうすんだよ」
「え?これ作ったのわた……」
シャラン♪
「ねえ、またしたよ鈴の音」
シャラン♪シャラン♪
「舞よく見て、ほら此処、鈴が敷いてある」
杏が言う。
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