短編

□小さな願い
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「あのね、リオン私ね・・・」
病室のベットの上で少女が楽しそうに話をしている。
その傍らで少年が椅子に腰掛けて少女の話を聞いている。
「ねぇリオン。もし、私がいなくなっちゃたら悲しい?」
少女が突然少年に問う。
少年はその問いに対して一瞬驚いた表情を見せたが静かに首を縦に振る。
「そうだよね。当たり前だよね。変なこと聞いてごめんね」
少女はそう言った。
「リオンは私の夢叶うと思う?世界一の歌手になること」
少女の問いに少年の唇が動く。
「か・な・え・た・い・ん・しょ?うん。叶えたいよ絶対に!」
少女が少年の唇を読みそう答える。
少女の答えに少年が微笑む。
「リオン、私ね一つだけお願いがあるの叶えてくれる?」
少女が聞く。
少年の唇が動き何?っと聞く。
「あのね、リオンの声聞きたくて・・・。だってまだ一回も貴方の声聞いたこと無いもの」
少女が言う。
少年の唇が動く。
「こ・え・を・き・い・た・ら・き・ら・い・に・な・る。そう言ったの?」
少女の問いに頷く。
「そんなわけないじゃん。私にはリオンしかいないんだから…」
少女が言う。
「本当?」
少年の口から音が発せられる。
その声は少女のような高いソプラノ声だった。
「やっと喋ってくれたね」
少女が嬉しそうに言う。
「嫌われると思った・・・こんな声だから・・・」
少年が言う。
「私ねリオンの声聞いてもっと好きになったかも・・・」
少女がクスッと笑っていった。


          END

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