短編

□ハーモニカ
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トゥー、トゥー、トゥー、トゥー、トゥー、ピー
少女がハーモニカをキッとした目つきで睨んでいる。
「何で何時も“ソ”のあとの音が出ないんだろ」
そう言うとハーモニカにもう一度口をつける。
トゥー、ツゥー、トゥ、ツゥー、トゥー、トゥー、ツゥ
「あ!出た。ワーイ始めて全部出た」
少女は嬉しそうにハーモニカを握り締め廊下を走っていった。
ある部屋の前で止まるとドアノブをまわし部屋に入る。
「Reo!listen to my musica!」
少女は部屋に入るなりそう口早に言う。
相手の返事も聞かずハーモニカの演奏を始めた。
ハーモニカが素晴らしい音を奏でる。
きっとこのハーモニカをまだ5歳の子が吹いてるとは思わないだろう。
長い高音が響き少女がハーモニカから口を放す。
部屋の主が楽しそうに笑っていた。
少女もそれをみて笑う。
「何時の間にそんなに上手になったんだい」
少年が問う。
「えーといっぱい練習したのレオに聞いてもらいたかったから」
少女は微笑む。
「ねえ、レオ。私ね『Rein』を教えてほしいの。だめ?かな…」
少女が聞くと少年はいいよと返事をした。
少女が嬉しそうに少年抱きついた。

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