短編

□溺れる魚
1ページ/1ページ

―エンゼルフィッシュ:天界に住む空を舞う魚。水中で泳ぐことは出来ない。

「ルキ〜何処にいるの?」
1人の少女が湖の周りを探している。
「ルキ!何処にいたの?探したよ」
呼ばれて振り返ったのは5、6歳の金髪の少年だった。
「あ!胡桃ぃ」
そう言って少女に抱きついた。
その少年は普通と何処か違っていた。
この少年には脚が無い、代わりに人魚の様なキラキラ光るシッポの様なものがあった。
「胡桃。元に戻して……」
ルキがそう小さくつぶやく。
パチン
胡桃は指を鳴らした。
一瞬にして少年は鮮やかな虹色のキラキラ光る尾びれを持つ、人魚へと変わった。
背中には小さな羽のようなものがあった。
「ルキってたしか泳げ無いんだよね」
胡桃がポツンとつぶやく。
「でも空は飛べるっか」
「ねえ、ルキ。ルキって泳ぎたいって思う?」
胡桃が悪戯っぽく聞く。
「少しはね」
ルキがポツンと言った。
「本当に?」
「本当に!」
「分かった、胡が教えてあげる」
そう言うと指を鳴らす。
胡桃の脚は人魚のような尾びれに変わる。
「ルキおいで」
そう言ってルキに手を差し伸べる。
ルキはしっかり胡桃の手を掴む。
胡桃はさっき尾びれに変えた脚を器用に動かしルキの手を引き少し深く潜る。
ボムッ
突然ルキが光輝く魚になり溺れたような状態になっている。
その事に胡桃は全くただただ、綺麗な湖の底を眺めている。
パシャン
虹色の魚はパーと空に舞い上がりまるで虹のように空を舞っていた。
            END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ