死が二人を別つまで〜ANOTHER if...〜
□君ヲ想フ時ノ唄
1ページ/1ページ
―気がつくとここにいた…。
僕は…自分が誰なのか思い出せない…。
1
唯世が死んで、あむとイクトは、あの家に居られなくなり、家を出た。
ここで過ごした楽しかった思い出が、二人に辛く重くのしかかり耐えられなくなってしまう。
「本当にいいのか?あむ。」
「うん。私、一人じゃない。まだイクトと歩夢がいる。」
イクトとあむは、生まれたばかりの歩夢と小さなアパートで暮らすことにした。
「狭い部屋だね。」
「まぁ、角部屋の1DKだからな。3人で暮らすならちょうどいいだろう?」
―ピンポーン♪
「こんな時間に誰だろう?はーい。」
「やぁ♪お隣さんに引越しのご挨拶に来ました♪偶然だねぇ、イクト君、あむちゃん♪」
「げっ、司さん…。」
「またお前か…いい加減、俺たちにつきまとうなよなぁ!」
「つきまとうなんて…人聞きの悪い…。」
「そうだよ…その手に持ってるの…。」
「あぁ、これ?引越し蕎麦。イクト君たちと食べようと思ってね。」
「丁度よかった!夕飯まだだから、一緒に食べようよ!?」
・
・
それから、6ヶ月が経ったある日…
イクトの口から
「なぁ、あむ…。」
「なぁに?」
「お前とはもう、一緒に暮らせない。」
「えっ…?」
・
「親父を探そうと思ってる。」
「そんな…急に…。」
「急に決まったことじゃない。このことは、5年前から、
お前のことがあって先伸ばしにしてもらってたんだ。」
「だから、俺たち、結婚しよう。」
「えっ…。」
「俺は、どんなに離れていても俺とお前はずっと一緒だ。