死が二人を別つまで〜ANOTHER if...〜
□守るべきものと噛み合わない楔
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白い闇が晴れて再び青い空が広がっている。
ここは、国立病院。
全ての始まりの終わりがあった場所。
やや「りまたん、りまたん、今日は、何して遊ぶ?」
りま「今日は、義足の定期メンテナンスの日でしょ?また今度ね。」
「あっ、赤ちゃんだぁ!可愛いなぁ、ややも赤ちゃんに戻りたい!」
「赤ちゃんかぁ…。あむ、今ごろ、何してるのかなぁ…。」
あむは、育児の傍ら、小学校のクラスメートのわかなの花屋でバイトをしながら、フラワーコーディネーターの勉強をしている。
「あむちゃん、歩夢君がおっぱい欲しいってよ。」
「あっ、はーい。待ってて!アユ!」
あむは、歩夢にお乳をあげながら、軽く腹ごしらえをする。
テレビで、国内で脳死移植手術を受けた少年が今日、退院したことを伝えている。
少年の名前は、三条海里。
山口に住む、男の子だ。
その少年のインタビューが
『これからは、臓器を提供してくださった方の分まで悔いなく精一杯生きていこうと思っています。』
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その言葉を聞いたあむの手が止まった。
「…空海…。」