余命僅かな天使たち

□初めの天使の死
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ここは、とある高層マンション
この一室である少年の変死体が発見され、世間を震撼させた。

『発見された遺体は死後10日以上経過しており、警察では、事件と事故、両面で捜査しています。』

あぁ…。

どうしてこうなってしまったのだろう…。

全ての始まりは、1年半前…。

ここは、聖夜学園のグラウンド。

そこでは、サッカー部の練習が

「山田!こっちにパス!」

「あぁ、頼む!」

「よっしゃ!シュート!」

俺は、力いっぱいボールを蹴り、シュートする。

だが、ボールはゴールを大きく反れてどこかに飛んでいってしまった。

「あ〜ぁっ!何やってんだよ!」

「悪りぃ、悪りぃ。ボール取ってくる。」

俺は、ボールを取りに学園の外に出る。

「ボール、ボールっと、おっ、あった。よっと。戻るか。」

「君、危ない!」

「えっ?」

男の声で振り返った刹那…。


キキキキーッ

ドン!

えっ…?

ウソだろう…?

俺は、トラックにはねられた。

地面に落ちた時、一緒に意識も吹っ飛んだ。


―俺は今、夢を観ている。


『空護!空海は!』

『お義父さん!あいつは…命に別状はないようなんだけど、事故に遭った時、いくつか内臓がやられたらしい。』

『そんな…空海…。』

じいちゃんは、リノリウムの廊下の床に膝をつく。

『そうじゃ!血縁者の臓器を移植すれば、助かるんじゃろう!お前の臓器を移植すれば、空海は…。』

父さんは、じいちゃんの言葉を聞いて声を荒げる。

『はぁ!?冗談じゃない!なんで僕が!』

『空海は、お前の息子じゃろう!?息子が危険な時、助けてやるのが父親という者だろう!』

『そんなの、血の繋がってるってだけだろう!なんで自分の体を、傷つけてまであいつを助ける必要があるんだ!そんな事するくらいなら、いっそう、治療室に入ってあいつの首を絞めて殺してやる!その方があいつも幸せってもんだろう!?』

『やめんか!空海が聞いとったらどうする!』

『どうせ聞こえちゃいないよ!治療室にいるんだぞ!』

父さん…。

あんた、勝手だよ…。

―生きたいの?

えっ?

―生きたいのね…。

―いいわ…。

―私の命はどうせ長くないのだから…。

―あんたに私の命を分けてあげる…。

お前、誰だ…?


―俺が目を覚ましたのは、それから、1週間後だった。

「空海!よかった!気がついた!」

ややが飛びついてきた。

「空海、入院して手術するまでずっと意識無かったんだよ!」

「そうか?」

「よかった…本当に…相馬君に臓器を提供してくれた人に感謝しないとね…。」

「臓器?提供?」

「うん。実は、名前は、理由があって明かせないけど、この事故の事を知って相馬君に肝臓を提供したいって言ってくれた人がいてね。その人のおかげで早い段階で移植手術が出来たんだ。」

「ふぅん、あれ?」

俺は、周りをキョロキョロ見渡す。

俺の兄貴たちは見舞いに来ていなかった。

「どうしたの?空海?」

日奈森が俺に話かける。

「いや…何でもねぇ…。」
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