P歌姫P

□ホワイトシンフォニー
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さぁ、歌いましょう。
風が奏でるメロディーを・・・。

さぁ、踊りましょう?
空が示すダンスを・・・。


*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*


しんと静まりかえったホールに凛とした歌声が響いた。
軽やかなステップでその歌姫は踊りだす。


それは決意の証だった。


ギュランダル議長が討たれて一見全てがおわったように見えたが、プラントは指導者を失い混乱に見舞われていた。
もう二度とこんな惨劇が起きないようにと、クライン派の強い推薦もあり”ラクス”に白羽の矢が立ったのだった。

それは自由がなくなるということだ。

そして時には、残酷な決断を迫られることもあるだろう。
自らが望んでなくても、、、だ。

「すごいな・・ラクス綺麗だ。」

このコンサートに呼ばれた極一部の人間。カガリ・ユラ・アスハは呟いた。
誰に言ったわけではないが、隣に座った双子は返事を律儀に返す。

「うん。これが、プラントの歌姫なんだ・・・」


他の誰でもない。
彼女が、プラントの歌姫・・。
表面だけでもない。ただのお飾りでもない。
本当の辛さ。真実の愛。戦う事の悲しみ。そして傷を知っている彼女。

それが、歌姫。
自分に道を示して、力を与えてくれたんだ。
・・・その事を思うだけで、キラ・ヤマトは、全身に走る何ともいえない高揚感を感じた。


「・・・・・」

誰もが、その妖艶とも癒しとも取れる雰囲気に飲まれる中、やはり少数の選ばれた人。
アスラン・ザラは、ただその様子を傍観していた。


「(違う。本当の彼女はこんなに強くはない。)」


凛々しい仮面を身につけて踊る彼女は、彼女ではない。


誰もが、だまされてるんだ。



誰も本質に気がつけないまま、彼女を奉り、縛るのか。
彼女は庭で無邪気に笑い、花に包まれた妖精でこそなのに・・・。


そんなことを一人で考えこみながら、アスランはひどい脱力感を感じていた。
・・そして同時に、彼女に対して、他のものにたいして、哀れみすらも感じていたのだ。


「(でも、本当に哀れむのは、自分自身・・か。)」


本当の気持ちに気がつかないふりをしたままの・・・




嘲る笑みを浮かべたアスランは、誰とも会話をせずにそっとその場所から立ち去った。


己の過去から、逃げるように・・。



*******************

一話一話が読みきりな記念すべき第一話・・!
主には、アスランとおまけでキラですね・・笑

次あたりは、ラクスの話を・・・

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