P暗黒P
□軌跡2
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『強がってるじゃないですか…?スタンだっけ……そんなに坊ちゃん気にいった…?ずっと気にしてますよ?……妬けるな…僕も人型だったら…』
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森のくちづけ事件から早三日が過ぎた。
いまだにリオンの頭の中には愛剣が放った言葉が渦巻き何度もあの場面が蘇っていた。
「…………っち。」
あれは悪魔でも睡眠薬を飲ませるがためのくちづけなのだ…深い意味はない。
そして自分もスタンを気にしてなどいない。
そう思えば思うほどに意識してしまう気がしてリオンは人知れず舌打ちをした。
「…リオンさん…?」
そのドスドスした空気に気がついたのか遠慮がちに話しかけてくるミツアミと眼鏡の女。
神の目を奪ったグレバムを捕まるために先日神殿にて仲間になったフィリアだ。
――ああ、確かコイツもスタンに惹かれているのか。
「………何の用だ…?」
無意識にそんなことを考えてしまいつい当たった言い方をしてしまう。
案の定フィリアは怯えたような瞳をして用件だけを伝える。
「いえ…あの船が準備できたそうなので……」
「分かった…すぐに行く。」
些細な事に苛々する……
こんなのは、八つ当たりなんだろうが…分かってはいる。
――――スタン
「……っ」
頭のなかにこだます声を無視するようにリオンはその場から去った。