P暗黒P
□月夜の夢幻想
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「ジューダスvVちょっといらっしゃい?」
ニヤリと悪巧みを考えついたような笑みを浮かべ物陰から手招きをするハロルド。
――しまった
と思ったのには遅すぎて、ジューダスは目を合わせてしまった自分を呪いながらも、のそのそと物陰に移動して行った。
〓月夜の夢幻想〓
「…何だ?これは……」
物陰について早々渡された、ピンクの液体が入っている小さな小鬢。
あまりにも妖しい香が漂っていて受け取りたくはなかったが、それをしたときの哀れな自分自身がかわいそうで小鬢を受け取るリオン。
日の光に透かしてみてもそれはただ、ただピンクの水にしか見えなかった。
「それは、物理化させる薬なのよんvVありとあらゆるモノを……それをシャルティエに吹き掛けてごらんなさい?あら、不思議…みるみる内に、人間にvV」
ニッコリと満面の笑みを浮かべて
さぁ…!
と言わんばかりに手を差し出すハロルド…。
「はっ…そんな馬鹿げた事があるものか。それだけなら、僕は部屋に戻るぞ。」
やってみたいというキモチがジューダスの中に広がったが、微かに残ったプライドに邪魔されていつもの態度を押し切ってしまう。
そしてそのまま部屋に戻ろうとハロルドに背中を向けた。
無意識に小鬢を握り閉め返さないままに――。
〜*〜*〜*〜*〜*〜*
「……本当にこんな物で…」
部屋に戻るなり明かりもつけずに小鬢を握りしめるジューダス。
それは月明かりに照らされて、幻想的に輝いていた。
そんな主人に心を奪われながらもベットの横に置いてある険……シャルティエはジューダスに問い掛ける。
「坊ちゃん…?どうしました…?何か、変ですよ……?」
「え……あぁ、何でもない。それよりシャル、磨くから黙れ……。」
あからさまに慌てて言いかえし、ベットに近寄るリオン。
無駄だとは分かっていても試さずにはいられなかっのだろう。
素直には言わずに、剣を磨く事を口実にしてピンクの液をつけて、磨いてみる…。
しかし、何の変化もなく…。
「…もう…寝る」
―――やはりか
そんな諦めの念が湧き出てきて、いずれはあきたように手をとめ傍らに横になってしまう。
そしてシャルティエは、わけがわからないままそれを見つめるしかなかった。
――次の日
「ンッ………」
毛布の中でぞっと動くジューダス。
ふわり
するといつもとは違う、人肌に行き当たり驚きで目を覚ます。
「誰…?…ΣΣだっ……!???」
寝ぼけたまま起き上がりその姿を確認すると眠気などは一切なくなり、声が裏返る。
何しろ目覚めた自分の前にいたのは、いるはずもない、最愛の人が人間の姿をしていたのだから………。
「ンッ………?坊ちゃん……」
あたふたやっていたせいか、シャルティエが目覚めて起き上がる。
次にはその右手がスッとジューダスの頬に伸びてきて……
「え……?」
パチリと目を見開く。
「Σシャル……?」
恐る恐ると声を掛けてみるジューダス。
「坊ちゃん…?夢…じゃありませんよね…何で具現化して……」
「…ハロルド…の薬、か」
ジューダスは思いあたる節にボソッと呟いた。
その名前を聞いた途端シャルティエも納得といった様子で青ざめながらも頷く。
「まぁ…なってしまったものは、仕方ないですよね。坊ちゃん………」
「シャル…?Σッ…?!」
身長差からか上目使いになりつつも呼び掛けられた事に振り向くジューダス。
しかし、それを予想したかのように手首を掴み流れるように鮮やかにシャルティエは主人を押し倒した。