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□Research!
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机の上に置かれたメモ帳。今日もまたこれを片手に、アレを開始する。
オレはたまにこうしてねえちゃんの周りにいる輩の監視――基、いい男リサーチをしているんだ。


「まずはー…葉月かな」

手にしたメモ帳を確認しながら近くの公園へ向かう。
そこには、例によって例の如く葉月がいた。……寝てる。しかもベンチで。

「そう言えば…葉月が起きてるのって少ないよね」

寝ているのを良いことに、近付いてその寝顔を拝んでやる。
……。
……………。
……………………。
……オ、オレだってあと数年もすればこれくらい……。

「…ん…」
「えっ、あ、起き」
「……ぐー」
「――て、ないし」

目の前ですやすやと眠る高校生は、一向に起きる気配を見せない。
仕方がないので後回しにすることにした。
うん、葉月は大丈夫だよ。いつも寝てるし。
オレの調べによると、こいつは女の子よりも猫に夢中だろうしさ。

「次は……あ、あれ、守村」
「あ、尽くん」
「何してるの?」

街中で見つけた守村は、でっかい袋を抱えるようにして歩いていた。
そんなに重いのかふらふらしていて明らかに危ない。

「花壇に撒く肥料がもうすぐきれてしまうので、買い出しに来たんです」
「それって…部が業者に注文とかするんじゃないの?」
「はい。普段は。今回は緊急だったために、仕方なく……っとと」

ふらりと大きくフラついて、何とか耐える。

「て、手伝おうか?」
「大丈夫ですよ。ありがとうございます。では」
「……気を付けてね」

歩きながら、守村は『はーい』と律儀に返事をする。
その背中が少し揺れた。
ああ、返事はいいからちゃんと歩けよ〜。
……。よし、大丈夫みたい。

「あの様子だと、守村も大丈夫かな。…相変わらず植物に夢中みたいだし」
「わっ、わぁっ!」

――バサ!ビリッ
…サラサラサラ…

メモをとるオレの後ろで、嫌ーな音と声がした。


「……ふう、手伝ってたら大分時間使っちゃったよ…。えっと、次はー」

オレは街を抜けて公園に来ていた。休日ともあって、沢山の人がいる。
その中に、一際目立つ人物…発見。
目があった瞬間、何かに悩んでいたらしきそいつ――三原は、急に瞳を輝かせた。

「君!」
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