NL

□blood type.
2ページ/3ページ




私は図書室で借りた本に載っている血液型占いを見ていた。

「ヒトミちゃん? 何を見てるの?」
「血液型占い。楽しいよ」

皆にも見えるように机に雑誌を広げる。
透くんも少しは興味あるのか、横からひょこっと覗いてきた。

「透くんはA型だよね」
「うん」
「お二人は?」

前の席に座る三年の二人にも声をかけてみた。

「僕も蓮もA型だよ」

神城先輩が読んでいた本から視線をはずして答えてくれた。

「そうなんですか。A型ってやっぱり多いんですね」
「それで、A型はどんな風に書かれてるの?」
「えっと…」

私はそこに並べられている文章を小声で読んだ。
流石に図書室で普通に朗読するわけにはいかない。

「A型は、几帳面で真面目。堅実派で、常識を重んじ滅多にハメを外さない」
「あ、解るかも」

透くんが先輩をみて囁いた。うん、私も解る。

「あと…A型は秩序やルールを重んじ、礼儀や習慣をおろそかにしない」
「何だか…いかにもな占いだね、蓮」
「……何故俺にふる」
「君がなかなか会話に入ってこれないみたいだから」
「入らないだけだ」

もしかして…一ノ瀬さん、不機嫌になってる…?
不意に、私に対して完全に無視の体勢をとっていた一ノ瀬さんが呆れたように溜め息をついた。

「人間の性格がたったの四つで分けられるはずがないだろう。くだらない」
「う…」

まあ、一ノ瀬さんがノって来るとは思ってなかったけど…。

「まあまあ。そんな事言わないで、ね? 僕は面白いと思うよ」
「あ、ぼ、僕も……」
「ありがとう、ございます」
「それに、蓮?」

神城先輩が、一ノ瀬さんに向かってにっこりと微笑む。

「この中で最も当たってたの、蓮だと思うよ?」
「…………」

確かに……。

「図星だから、恥ずかしかっただけなんだよね?」
「えっ…?」
「そんなわけ……」

本の一瞬、一ノ瀬さんが慌てた気がした。
…そうだったんだ。何だか、一ノ瀬さんって……。

「…何だ、その目は」
「何でもないです」

可愛い、なんて言えない……。


ちょっとだけ、一ノ瀬さんが身近に感じられた日でした。




END
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ