BL

□夢涙
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「…き」

人の声……?
しかもこの声って。

「……雅紀、気が付いたか?」
「あ、れ…?」
「ああ。よかった。目、覚ましてくれて」
「…何で……」

目の前に広がるのは、公園の芝生のものとは明らかに違う。
室内だ。
けれどオレの部屋でもない…。
今横になってるベッドからは、他人の香りがする。
…鷹士さんの香り。

「あの…」
「ああ。さっきシュタインが俺の所に走ってきてな。様子がいつもと違ったから付いていってみたら、お前が公園で倒れてたんだよ」
「……すみませんでした。オレもう行きます」

起き上がろうと腕に力を入れた――のだが。

「駄目だ」
「えっ……」

あえなく阻止される。
まあ予想はしてたんだけどね…。

「お前はもう少し寝とけ。それと何か食べたほうがいいな…」
「いやあの。オレ自分の部屋で寝ますから。食べるものも一応買って………う…」
「…あれじゃ十分な栄養にならないって事くらい、わかってるだろ?」
「ハ…ハイ…」

なんだろう。
鷹士さんのいつもの気さくな笑顔がない。
むしろなんだか…怒ってるようにさえ感じる。
オレはこうなった鷹士さんにはいままで会ったことはなかったのだ。
その所為か、思わずはいと返事をしてしまう。

「それに、その顔で外に出る気か?」
「…は?」

言葉の意味をつかみ損ねる。

「…うなされてた」
「あ…」

鷹士の手が頬に触れる。
少しだけひんやりと感じた。

「熱もあるし、いいから無理するな。治ったら夜には帰してやるよ」
「治らなかったらどうするんですか…。まさか帰さないなんて言うんじゃ……」
「馬鹿。治すんだよ」
「…はい」

額に大きな手が被さり、次に視界が真っ暗になる。
その直後、オレは再び深い眠りに付いた。



ああ
なんてタイミングが悪いんだろう
どうせ休むなら
もっといい夢が見たいんだけどな……

…さっきの夢の続き

オレはとっさにユウキの前に出る
ああ、何やってんだろ。オレ

ユウキは――…



次に目覚めたのは夕方だった。
といってもすでにほとんど日は傾いている。時間的には夜だろう。
辺りを見渡すと、鷹士の後姿があった。

「…あ。起きたな」
「はい。……それって」
「粥くらい食えるだろ。何か食ったほうがいい。残してもいいからさ。その後薬飲――」

オレの顔を見た鷹士さんが言葉を切る。
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