BL

□Love letter.
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草兄って少し強引なトコあるからなぁ、とか考えて魚を捌く後ろ姿を見守る。
少しして出されたのは……刺身だった。

「……ありがとう、草兄」

草兄は、いつものように優しく微笑んでくれた。





「あー、お腹いっぱい」
「それはよかった。あ、食器さげるから」

隣の椅子を見ると、さっきの手紙の束はなおされていた。
……いつの間に……。

「さぁ、食事もすんだし、部屋に来るか? 知り合いから新しいプラモデルをもらったんだ。あげるよ。見るだろう?」
「えっ、行く行く! どんなの?」
「今回は―――――」

部屋の前で、草兄が持ってる鞄から一通の手紙がヒラリと足許を舞った。

「……落ちたぜ」
「ああ、ありがとう」
「それ……やっぱラブレターってヤツ?」

何気ない口調で聞いてみたけど、実際ドキドキしていた。
オレの高校は男子校で、そんなもの滅多に拝めないからだ。

「たぶん、そうだけど」
「……たぶん?」
「まだ中を見てないから判らないよ」
「って、オンナからもらったんだろ? そんなのラブレター意外のなんだってんだ」
「……貰っても、困るだけだよ」

ドアを開けて中へと招き入れられる。
草兄は苦笑しながら、机の上に鞄を置いた。

「それに、ラブレターなら恭介君も貰うだろう?」
「誰にだよ。男子校で」
「ああ、そうか。男子校か……それでも、恭介君なら貰いそうだ」
「冗談やめくれって。実際、貰っても嬉しくねーぞ―――――って、あ」
「……あるの?」

草兄が意外そうに聞き返す。
しまった……言うつもりなんてまったくなかったのに。
つい、話の流れでポロッと……。
言いようのない沈黙が流れ出す。
最初に口を開いたのは、草兄だった。

「誰から……」
「―――――は?」
「それは、誰から貰ったの?」
「なっ、何でそんな事」
「気になるから」

にっこり。
って、超笑顔で言われても……。

「っ、たぶん、面白半分か罰ゲームだろ」
「罰……ゲーム?」
「そ。オレって恐れられてるから」

そんなのはオレの中では常識で。
家のことを考えれば当たり前だから、誰でも安易に理解できる。
けど、草兄は違ったみたいだ。
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