BL

□Love letter.
3ページ/7ページ

「酷い事をするんだな……」
「草兄が怒ってどうすんだよ。あ、このこと誰にも言うなよな」
「あ、ああ。もちろん」
「サンキュ、草兄」

他の誰でもない、草兄なら安心だ。
草兄のベッドに座ると、棚に置かれた見知らぬ箱が目についた。

「プラモってあれ?」
「そうだよ。今回のはちょっと複雑らしいけど……」

箱を棚から取り出して目の前に置く。
二人してベッドに並び、待ちきれなくて部品を取り出す。

「オレを誰だと思ってんだよ。こんなの朝飯前だって」
「すごいね」
「へへ……。って、言ったは良いけど……確かに部品多いな」

大きさもそれなりにありそうだ。

「えっと、これはここで……こうだろ」
「そうそう」
「これが―――――」
「ああ、そこはね……ちょっといいかな」

オレの後ろに回って、背中越しに説明を始めた。
ちょっと恥ずかしいけど、確かにこっちが判りやすい。

「ここを、こうして……」
「…っ……、うん」
「そしてこれを」

耳をかすめる吐息がくすぐったい。
それに、さっきあんなこと話したせいか?
鼓動が煩く感じる。

「はめる、っと」
「……サンキュ」
「うん」

複雑な部分の説明が終わり、草兄が離れてくれるのを待った。
でも、離れるどころか不意に後ろ髪を絡み取られて。

「……草兄?」
「香水とかはつけてる? いい香り…」
「え、えと……」

オレは何だかいたたまれなくなって、机に置かれたラブレターを指差した。

「そう言えばアレ、返事どうすんの?」
「ああ……気になる?」
「っ…」

指先を遊ばせる草兄はいつも道りで……でも、何かが違った。

「……なるほど、恭介君は首筋が弱いのか……。覚えておくよ」
「そっ、そんなの覚えるな!!」
「もうすぐあんずが帰ってくる時間だな」

その言葉にホッとする。
早くこの場から解放してほしい。
……恥ずかしくて、どうにかなりそうだ。

「…って、え?」

体が反転したと思ったら、一瞬にして草兄に押したおされていた。
嘘だろ……あの一瞬で、このオレを……。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ