白部屋2

□一方、現世では
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 一護たちが虚圏から戻り、藍染を倒してから、数日後。
 朝のHRの時間に、担任の越智が明るい声で言った。
「今日は転入生があるよー!」
 中途半端な時期の転入生に、クラスが少しざわつく。構わずに越智は続けた。
「それじゃあ、入って、鷹野さん」
「はーい」
 越智の声に、明るい声が答える。そして、転入生が教室に入って来た。
 現れたのは、愛らしい顔立ちをした少女だった。茶色い髪の毛先を巻いて、顔にはばっちり化粧をしている。
「鷹野胡桃です。これからよろしくお願いしまーす」
 胡桃はそう言って頭を下げ、室内を見渡した。その目と一護の目が、合う。その瞬間、胡桃はにこりと微笑んだ。
(――何だ?)
 一護が首を傾げている間にも、胡桃は何もなかったかのような顔をして姿勢を戻している。
 視界の隅で雨竜が顔を顰めたことには、彼は気付かなかった。






「鷹野さん? よろしくねー」
「こんな時期に転入生なんて、珍しいね」
「て言うか鷹野さん可愛い―。ねえ、胡桃って呼んでもいい?」
「千鶴、あんたは引っ込んでなさい」
 休み時間。
 席に座った胡桃を、女子生徒が取り囲んだ。その中には織姫の姿もある。
 一護がぼんやりそれを眺めていると、すっと雨竜が寄って来た。
「――黒崎」
「何だ?」
 突然声をかけられて、一護は眉を顰めて顔を上げる。雨竜は眼鏡を押し上げて、「――彼女」と胡桃を見た。
「彼女、死神だよ」
「え!?」
 唐突な雨竜の言葉に、一護は思わず大声を上げる。雨竜は「しっ、静かに」と言って、一護の隣の席に腰を下ろした。
「間違いない。死神の霊圧を持っている」
「じゃあ、尸・魂界から来たってことか? なんでこんな時期に……」
「それは分からない。後で訊いてみようと思う」
「訊いてみるって、本人にか?」
「他に誰がいる?」
「……確かに、いないけど」
「こういうのは本人に訊いてみるのが一番だ。もしかしたら、また何かあったのかもしれない。早く知っておくのに越したことはないだろう?」
 それだけ言って、雨竜は席に戻って行った。
 一護は、女子生徒に取り囲まれた胡桃を見る。
(転入生が――死神?)
 一護はルキアのことを、次いで平子のことを思い浮かべる。ない話ではない。
 また尸・魂界で何かあったのか。
 その可能性を考えて、一護は体を緊張させた。








ここからしばらく現世のターンです……!

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