白部屋

□始まり
1ページ/1ページ




「皆さん、隊長を知りませんか?」
「隊長……?」
「知りませんよー」
「知らないですね」
「……眠い」
「そっ、そんなことより、私の眼鏡知りませんか?」
「眼鏡なら頭の上にあるぜ」
「あっ、本当だ」
「隊長、またいなくなったのか?」
「そうなんですか、副隊長?」
「実は……そうなんです。もうすぐ隊首会が始まるというのに……」
「相変わらずですねー、隊長」
「馬鹿だろアイツ」
「懲りねぇよな、隊長も」
「ああ、眼鏡があって良かったあ」
「何処に行ったか、誰か知りませんか?」
「知りません」
「……眠い」
「知らないですよー」
「し、知りませんっ」
「……本当に、知らないんですか?」
「知らないですっ」
「嘘をついたら嫌いになりますよ?」
「知ってますごめんなさいだから嫌いにならないでごめんなさい」
「で、どこですか?」
「紫太夫のところですっ」
「ああ……またあそこですか……」
「紫太夫?」
「どうせ隊長が入れ上げてる花魁の名前か何かでしょー?」
「あらら」
「その通りです……頭が痛いですよ、本当……。ちょっと迎えに行ってきます」
「副隊長、僕も手伝いましょうか?」
「いえ、私ひとりで結構です。本当、あの馬鹿は……」




「あーあ、副隊長行っちゃった」
「これでいいんですか? 隊長」
「ああ、ありがとう。これで計画通りだ」
「で、アホみたいな芝居させといて、何が目的なんだ?」
「これで俺の方が先に到着できる。隊長としての面目が立つだろう?」
「……そんなことのために副隊長を騙したんですか?」
「……隊長、馬鹿だよな」
「あったま悪いですね、隊長って」
「さて、俺は隊首会に出かけようか」
「副隊長―、隊長いますよ。ここに」
「あっこら君、告げ口するな!」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ