白部屋

□隊首会
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「これより隊首会を行う」
 総隊長――山本の宣言で、隊首会の幕が開かれた。

 集まった隊長たちの顔を見渡して、山本は口火を切る。
「今日召集をかけたのは、他でもない――‘影’を表に出すことを知らせるためじゃ」
「影の?」
 反応したのは、浮竹だった。
「彼らを使うんですか?」
「知ってのとおり、藍染の一件から、この尸・魂界は混乱しておる。それの収拾のためには、やむをえん」
 そう言うと、かつんと山本は杖を鳴らした。
「畦町椿、白藤円寿――参れ」
 すると、それに答えて、奥から二人の人物が進み出る。
「畦町椿。‘影’隊長だ」
 そう名乗ったのは、背の高い男だった。艶やかな赤い髪は長く、目は金。死薄装の胸元を大きく開けて着ている。肩には、袖のない羽織を羽織っていた。
 畦町椿。
 彼は自信満々な表情で一同を見渡し、口元には軽い笑みすら浮かんでいる。
 一方の傍らの人物は、しずしずと進み出ると、きっちり腰を折って挨拶した、
「白藤円寿と申します。‘影’の副隊長を務めております」
 そう言って上げた顔は、美しいの一言に尽きた。黒い髪は首筋で切り揃えてあり、目は青色。女というよりは少女といった雰囲気を漂わせている。首から下は、露出している部分が全て包帯で覆われていた。
「白藤を知っておる者は多かろう。畦町はこの百年の間に隊長に就任した。‘影’としての実力は申し分ない」
 文句はないな、と暗に問うた山本に、何か言う者はいなかった。





 

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