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□We go out together and buy pair things. It proves that we are connected.
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 こんこんと、わたしの家の窓をノックする音。
 それ以外には物音一つ立てず、彼はわたしの家に現れる。
「よぉ」
 窓を開けると、そこにはデイダラの姿。騒ぎにならないようにと、今日は暁のコートも傷の入った額当てもしていない。ごくごく普通の青年だ。
「いらっしゃい、デイダラ」
 ひそやかにわたしはそう言って、家のドアを開ける。滑り込むようにしてうちの中に入って来たデイダラは、「あのさ」とわたしの腕を掴んだ。
「出かけねぇか? うん」
 突然の言葉に、わたしは目をパチパチさせる。
「どうしたの、いきなり」
 わたしとデイダラが過ごす時間は、大体がわたしの家の中だ。デイダラは目立つ風貌をしているから、もし暁の格好をしていなくても、誰かに気付かれるかもしれない。そうなったらわたしと彼に関係は終わりだ。だから、いつも家から出ないようにしていた。
「いや、その……たまには、恋人らしく一緒に買い物とかしてみたくならねぇか?」
「うーん……してみたい気もするけど、でも、それが元で二度と会えなくなったりしたら、それこそどうしようもないし……」
「おいらはお前と恋人らしくデートしてぇ」
「え?」
「二人で美味しいもの食って、買い物して……そんで、恋人同士らしく、揃いのものとか買ってみてぇ」
 デイダラの言葉に、わたしは目を丸くした。……まさかデイダラが、そんなことを考えていたなんて。
 わたしが動きを止めていると、デイダラは顔を赤くして声を荒げた。
「こんなこと、言わせるんじゃねぇよ! 普通女が言うことだろ!? うん?」
 すごまれて、それはそうかもしれない、と思う。
「ごめん、わたしそういうこと全然気が回らなくて……」
「別にいいんだよ、うん。それで、行くか行かないか、どっちなんだ?」
 腕組みしながら問うてくるデイダラに、わたしはすぐさま答えた。
「行こう! ちょっと化粧してくるから、待ってて!」




 街へ出たわたしたちは、お洒落な服屋を冷やかし、甘味どころが美味しいので有名なお店に入って昼食を取り、それから、雑貨屋へと足を伸ばしていた。
 道中、デイダラの正体がばれるんじゃないかと気が気ではなかったけれど、人々もまさか有名なS級犯罪者が恋人とデートしているとは思わないらしく、ちょっとした変装だけで、何とかなった。
「あ、これ良くない?」
 わたしが見つけたのは、ピアスだった。
「……お前ピアス穴開けてないだろ、うん」
 可愛いピアスを見つけてはしゃぐわたしに、デイダラが冷静に言う。わたしは唇を尖らせた。
「そのうち開けるんですー」
「開けてやろうか?」
「遠慮シトキマス」
 わたしが見つけたのは、リングタイプのピアスから、更に飾りが垂れ下がっている物。かなりいいお値段がするが、でも、一目見た瞬間にこれだと思ってしまったのだ、値段なんて関係ない。
 わたしがじっとピアスを見つめていると、デイダラはそれをひょいと持ち上げて言った。
「半額出してやるよ、うん」
「本当!?」
「ただし、片方はおいらに寄越せ」
「……え?」
 デイダラの言っていることが分からなくて、わたしは間抜けな声を漏らす。すると、デイダラは顔を真っ赤にして、怒ったように言った。
「ペアだよ、馬鹿! そんくらい分かれ!」
 ペア。
 その言葉に、私の顔も真っ赤に染まる。
 そう言えば、デイダラと揃いの物は、日用品以外で買ったことがなかった。今更ながらにペアの意味を意識して、いても立ってもいられなくなる。
「よし!」
 わたしはデイダラの手を掴んで、レジに向かった。
「すいません、これお願いします!」
 そして、ひとまず代金はデイダラが払うことにして、できるだけ早く会計を済ませていく。
 店を出たわたしとデイダラは、袋からピアスを出して、手を繋ぎ、眺めた。
「……いいね、これ。デイダラの金髪によく似合う」
「お前の白い肌にもよく映えるぞ、うん」
 言い合って、わたしたちは、にっこりと笑う。
 お揃いで買った、ピアス。
 これがわたしたちの、愛のしるし。










私にしては初々しいモード入ってしまいました。実はNARUTOでトップ3に入るくらいデイダラが好きです。書いてて楽しかった!

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