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□できそこないの私とウルキオラ様
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 私はできそこないの破面。
 ぽっちゃり系で、動きが鈍くて、ロリたちには「アンタはしょうがないわね」と呆れられるくらい弱い。
 そんな私。
 なんと、ウルキオラ様の従属官に抜擢されました。
「あの、ウルキオラ様……どうして私なんですか?」
 顔合わせみたいなのが済んで、私物をウルキオラ様の宮に運んで、紅茶(私の私物です。紅茶にはこだわりがあります)を淹れながら私が問うと、ウルキオラ様は表情ひとつ変えずに言いました。
「理由が必要か?」
「え……ええっと、はい」
 茶葉を蒸らしていると、ふいにウルキオラ様の霊圧が消えました。
 かと思うと。
「あの、ええっと……ウルキオラ様?」
 背後に、ウルキオラ様がいました。
 ポットの柄を握った私の手に手を重ねながら、ウルキオラ様は相変わらずの感情が読めない顔で言います。
「お前が気になるからだ」
「き、気になる?」
「その戦いに適さない体型、実際の戦闘力の低さ。お前の存在は意義が分からない。何故崩玉はお前のような存在を生み出したのか」
 割とグサグサ刺さることばがウルキオラ様の口から発せられて、分かっていることながら、私は傷つきました。
 しかし。
 ウルキオラ様の手が移って私の顎を上げさせ始めると、さすがに私も慌てました。
「ウルキオラ様!?」
「それに何より、そんなにもとるに足りない存在であるお前が、何故こんなにも俺の興味を引くのか。それを知るためには、お前を知るのが手っ取り早い。だからお前を従属官にした」
 何かおかしいか、と言いたげに、首を傾げるウルキオラ様。しかし、私は今言われたことを飲み込むのでいっぱいいっぱいだった。
 私が、ウルキオラ様の興味を引く?
 それは、
 現世の少女漫画を読みあさり慣れた私の顔は、真っ赤になったことでした。
 それはつまり、ウルキオラ様は私のことを好きになりかけているということでは……、
 しかし、すぐに私の理性がその思考にブレーキをかけます。
 駄目だ駄目だ、なに期待をしているんだ私。相手はあのウルキオラ様だ。誰かを好きになるはずなんか、ない。
「問いに対する答えは以上だ」
 冷たいウルキオラ様の声で、私は我に返りました。
「はっ、はい!」
「茶を淹れるのに、随分時間がかかるのだな」
「茶葉は一分くらい蒸らすと美味しくなるんです」
「それはお前の趣味か?」
「だって、美味しいものはもっと美味しく食べたいじゃないですか」
「下らんな。俺は物の味には興味がない」
「そ、そうですか……」
「だからこそ気になる。お前が何故そんなことに執着するのか」
 こちらを射るような、強い、強い目。その目に宿る興味が決して悪いものではないような気がするのは、私の思い違いでしょうか。
「の、飲んだら分かります! 飲んだら絶対にこっちの方が美味しいですから」
 ついっと離れたウルキオラ様から真っ赤になった顔が見えないようにしながら、私は機械的に手を動かす。
 どう、しよう。
 恋してしまったのは、私の方なのかもしれない。




久々にブリーチ夢でウルキオラにしては珍しいほの甘なお話。

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