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□恋とか愛とか
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「私、恋できない歴50年突入しましたよ……つらいです」
「いつかできるわよ。ほら、飲んで飲んで」
「松本副隊長ぉ……」
 副隊長と、何故かサシで飲むことになったとき、こうなるのは分かっていた。もともとそれほど酒に強い方ではないのだ。しかし上司に勧められたら断れないわけで、酔っ払ってしまうのは目に見えていた。
「こーんなに格好良い人ばっかりの護廷十三隊で恋できないとか、女として終わってますよ……」
「告白とかはされたことないの?」
「何度かあったけど面倒くさくて全部断りました」
「勿体ない。告白から始まる恋愛もあるのよ?」
「面倒くさいって思う時点で始まる可能性は皆無ですよ」
「そう言わずに。梅酒飲む?」
「ソーダ割りで……」
「すいませーん、梅酒のソーダ割り一つ!」
 だんだん酔っ払ってきて、何を言っているのか分からなくなってきた。ぐるぐるまわる頭でぼんやりしていると、「そうだ!」と副隊長が手をたたいた。
「うちの隊長なんてどう? 可愛くて男前よ!」
 言われて、頭の中に日番谷隊長の姿が浮かんでくる。
「うー、確かに外見可愛いし中身イケメンですけど、でも、見た目的に犯罪ですよ……」
「あら、じゃあまんざらでもないわけ?」
「うー……」
「どうなのよ」
「まあ、今までの誰よりも、良いとは思います……」
「ならいいじゃない。ね、隊長!」
 え?
 副隊長のことばに驚いて、ぐるりと首をめぐらせる。すると、背後に、
「ったく、べろべろじゃねぇか」
 隊長その人が立っていた。
「た、隊長……!?」
「変えるぞ、松本。お前まだ書類残ってるだろ」
「あれえ、バレました?」
「当たり前だろ」
「この子はどうします?」
「上司である俺が、責任を持って部屋まで送る」
「やだ隊長ったらイケメン〜。送り狼は駄目ですよ」
「誰がするか」
 いつもと変わらぬやりとりをしながら、隊長が私の腕を引っ張って立たせる。ふらっとふらつくと、すぐに肩で支えられた。
「帰るぞ、松本。支払いしてこい」
「はあ〜い」
 お勘定お願いしまーすと立ち上がって言った副隊長は、私にウィンクしてささやいた。
「今に好きになるわよ、隊長のこと」
「う〜……」
「それじゃ隊長、外で待っててくださいね!」
 ぼんやりしていると、隊長が私を引きずるようにして歩き出す。慌てて足を動かしていると、ぽつり、と隊長が言った。
「お前は溜め込むタイプだから松本に連れ出させたんだが、思ってた以上に溜め込んでたみたいだな」
「そんなこと……ないれす」
「もっとまわりに話せ、頼れ。そのために俺たちはいるんだ」
 月明かりに照らされた隊長の顔が、何故かいつもよりとびきり格好良く見える。
 じわじわと顔が赤くなるのを感じながら、どうかお酒のせいだと思ってくれますように、と私は隊長の肩にもたれかかった。





なんかぐだぐだなお話。
昔はよく書いてた日番谷夢を久々に書いてみました。

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