BL
□愛してるから、さようなら
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十代目が死んだ。
自室で仕事中に何者かに暗殺されたらしい。
山本が発見した時にはもう意識はなく何の手掛かりも掴めぬまま葬儀が執り行われた。
「うぅ…十代目ぇ…」
「…獄寺…」
「くそっ!!何で…何で!!俺は…右腕失格だ!!!」
ドンッ
やり場のない怒りを壁にぶつける。
「くそっ!!くそっ…!!」
壁を叩き続けるその手からは血が滲み出ていた。
「うぅ…」
「…獄寺。」
悲しみに打ちひしがれる背中を自分より一回り大きな体がそっと包み込んだ。
「やま…もとぉ…」
普段なら"触んな!!"等と罵声を浴びせる所だが、心が弱っている今は山本の存在が唯一の支えになっていた。
後ろへ向き直りその胸に顔をうずめる。
「ふ…うぅ…」
ただただ涙を流すだけの俺を山本は黙ってずっと抱き締めてくれていた。
――――――。
あれから一か月。
やっとの事で通常の生活が出来るくらいまで立ち直った。
一日中部屋に引きこもり止めどなく流れる涙を拭ってはまた啜り泣く日々。
ろくに食事も取らず泣き続け正直、体中の水分が全て失われるんじゃないかと思った。
山本はそんな俺を心配し、ずっと側にいてくれた。