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□永遠の自由
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光の届かぬ真っ暗な闇。

ここはどこだろう…

そんな素朴な疑問を巡らせながら当たりを見渡す。

水の中にいるような冷気に身震いをする。


「あれ…?誰か、いる?」


鎖や手錠に繋がれ自由を奪われたその姿―――。


「む…くろ…?」


それはかつて自分の身を危険に追い込んだ相手。


「骸!!」


自分が何故ここにいるのか、どんな状況にあるのか。

そんな疑問は一瞬にして吹き飛び気がついたら手を伸ばしていた。

―――あと、少し…


ジリリリリ…

うるさいくらいのベルの音に目を開くと、見慣れた天井。


「…夢?」


愛しい人を掴み掛けたその手を天井に翳す。


「骸…。」


翳した手を額にコン、と落とし涙を流す。


―――――――。


「…いってきます。」


いつも通りの朝、いつも通りの通学路、いつも通りの日常。

でも、そこに骸はいない。

一度は狙われた身。

なのに彼が復讐者の牢獄に捕えられたと聞いて不安で、心配で…そしてたまらなく会いたくなった。


「…馬鹿だな、俺。」


フッ、と自嘲的な笑みを浮かべる。

もう数え切れないほど同じ夢を見ている。

目覚めるのも毎回同じタイミング。

日に日に目に見えて衰弱していく俺を獄寺君や山本が気遣ってくれる。

でもダメなんだ。

骸じゃなきゃ、ダメなんだ。


また夜が来る。

きっと今日も同じ夢。

憂鬱だけど否応なしに眠気は襲って来る。


―――――――。


「…あれ?」


いつもの暗い場所とは違う、光の差し込む花畑。


「ここ、どこ…?」

「綱吉君。」


久しく耳にする事のなかった、中学生にしては大人びた色気のある声。

まさか…いや、そんなハズは…

期待と不安を胸にゆっくりと振り向く。

 
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