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□再会と対峙
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ジャリ…

地面を踏み鳴らすその足下には…

無数の人間。


「つまらない…もう終わりか…」


地に転がる体を足蹴にし溜め息を吐く。


「わ。皆やっつけちゃったんだ、さすがだね…」


背後から聞こえる、この場に相応しくない緊張感のない声。


「…雲雀恭弥くん。」


振り返ると白い髪に白い服を纏った男がニヤニヤしながら立っていた。


「君、誰?」

「僕は白蘭、よろしくね〜」


その名を聞いた途端、雲雀の顔色が変わる。

白蘭…聞いたことがある。

否、忘れるはずがない。

今まさに敵対しているミルフィオーレファミリーのボスの名。


「ワォ…大将が直々に出向いてくれるとはね、嬉しいよ。」


チャキ、とトンファーを構え臨戦態勢に入る。


「ちょっと待った。君の相手は僕じゃないよ。」

「…?」


ジャリ、ともう一つの足音。

そこに現れたのは…


「懐かしいでしょ?こうして実体で会うのは十年ぶりかな?」

「…六道、骸…」


それは、かつて武器を交え認めたくはないが一度は敗北という屈辱を味わされた男。


「ふぅん。まさか敵方に付いていたとはね…見損なったよ。」

「………」

「?」


こちらの声に全く反応を示さない。


「無駄だよ。今骸くんの心は僕に支配されている。君の声は届かないよ。」


なるほど。

そう言われてみれば確かに自分の記憶の中の彼とは雰囲気がだいぶ違う。


「ま、どっちでもいいよ。どのみちこの男は僕に咬み殺される運命だからね。」


再びトンファーを構える。


「あれ?普通お仲間が相手ならもう少し遠慮しない?」

「仲間…?笑わせないでよ。この男とはいずれ決着をつけようと思っていたんだ…ねぇ?」


雲雀の言葉に微かに残る自身の心が反応したのか無言で槍を構える。


「ちょ、骸くん!まだ命令してな…」


ヒュンッ


骸の槍が白蘭の髪を掠める。


「なっ…」

「そう…君も僕と決着をつけたいんだね…」


その表情から笑みが消え手足に闘気を込める。


「…行くよ。」


地面を蹴るように骸のもとへと加速する。


―――待ってなよ、僕が君の目を覚ましてあげるから。


―END―

 

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