BL
□愛し君へ…
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君と出会って10年。
思えば…あの日、あの森で君を見た日から…
僕の心は君に惹かれていたのだろう。
しかし君は憎むべきマフィアの頂点に立つ男。
そんな人間に好意を抱くなどあってはならない。
僕は心に鍵をかけ、気付かぬフリをして、今までごまかしながら生きて来た。
今更遅いのは分かっています。
けれどせめて一言、想いを告げさせてください。
「綱吉君。君を…愛しています。」
血の通わぬ冷えきった手を必死に強く、強く握り締める。
少しでもいい…自分の熱を伝えられないだろうか。
僅かでもいい…自分の命を分け与えられないだろうか。
けれど今となってはそんな事は無意味で…
止めどなく溢れ出る涙が君の体に零れ落ちる。
花に埋もれた
棺に眠る
動かぬ君へ…
-END-