宍戸 亮

□留守番電話の君の声
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〔♪〜〕

携帯電話の着信音が私の部屋を占拠する。

ああ、うるさい。
早く鳴り止んでくれないかな。

好きな歌がこんなにも耳障りになるなんて、眠気ってなんて恐ろしいの。

「もう…誰だろ…」

ゆっくりと目を開ける。
部屋のカーテンが風で揺れ、その隙間からまばゆいばかりの夕日がちらつく。
その光りに目を細めながら、私は枕元に置いていた携帯電話を確認した。

−ピッ

…不在着信が5件。
それも、全部亮からだ。
何回も掛けてくるってことは何か大事な用があったに違いない。
そう思うと、眠たさなんか一気に吹っ飛ぶ。
急いでかけ直そうとしたけど、ハッと気付き私はもう一度画面をよく見てみた。

…やっぱりそうだ。
履歴内の1番最新の不在着信にきっちりと留守番電話が作動している。
さっきのうるさい着信音は亮からの電話だったのか…

決定キーを押し、携帯電話をそっと耳に当てる。


ピー……

《…あっ、もしもし…っ俺だけど…よ》

静寂の中、携帯越しに聞こえる微小な声がこの部屋に響く。

《今、何してる?時間あるか?…ってもお前も用事ぐらいあるだろうから、早めに済ましとく。》

電話越しに聞く亮の声は、いつになく真剣だった。


《…笑わずに聞いてくれ。

……俺、お前が一一》


ツー…ツー…


そこで、中途半端に留守録は終わっていた。故意に切ったのかそうでないのかは分からない。
私は携帯電話を閉じて、そっと横に置いた。

「何よ…もう」

その先の言葉ぐらい、バカな私でも想像つく。
ああ、だんだん顔が熱くなってきてるのが嫌でも解る。




留守番電話の君の声は

私の耳にいつまでもくっついて離れない。





end.

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