春は眠くなるというけど、別に夏だって眠い。しかもいつもより過ごしやすいひんやりした日は特に。今日なんてまさにそうだ。最近任務続きでろくに寝れてないからなおさら。職業柄しょうがないことだけど、このところは標的よりも睡魔の方が何倍も強い。そんなあたしが今休んでいられるのは久しいオフのせいだった。 「スクアーロ、今日これから任務ある?」 『別にねえぞぉ』 「ほんと?やった!じゃあ今からそっち行っていい?」 『おう』 やったあ、奇跡だ。忙しいあたしよりもっと忙しいスクアーロのオフがあたしと重なった。もしかしたらボスが気を遣ってくれたのかもしれない。ほんとたまにだけどボスってほんと優しい。 「スクアーロ!」 「うおっ!」 ドアをあけたらすぐに、ソファに座るスクアーロの胸に飛び込んだ。よかった。剣の手入れしてたみたいだったから、あと数秒早く入ってたら刺さってたかもしんない。まあスクアーロの胸の中で死ぬのは本望だけど、そんなアホな死に方したら確実にベルに笑われる。 「ノックぐらししろぉ…」 「したよ、聞こえないくらいの音で」 「意味ねえだろぉが」 「いや、びっくりさせたくて」 「お陰様で十分驚かされたぜぇ…」 「疲れた?仕事のラッシュにプラスして」 「まあ、さすがに最近だりいかもなぁ」 「んじゃあせっかくオフだしさ、昼寝しようよ、昼寝」 「いやまだ手入れの途中…」 「空いてる時間をそうやって使うからまた疲労が溜まるんだからね」 「おいっ」 スクアーロの手から道具引っ張ってテーブルに置いて、今度はスクアーロを引っ張る。なんかいろいろ言ってるけどとりあえず引っ張ってベッドにダイブ。うん、やっぱりあたしのベッドよりスクアーロのベッドの方がビターなふかふかさっていうか、なんかしっくりくる。 「やばいすぐ寝そー」 「さっさと寝ろぉ」 「あたしが寝たからってすぐまた剣の手入れ始めちゃ駄目だよ」 「…さっさと寝ろぉ」 「絶対する気でしょ」 「し、しねぇ!」 「うそつくのほんと下手だね。じゃあ手ぇつないでてよ」 「……ゔお゙ぉい…」 ちょっと反抗するけど結局やさしいのがスクアーロのいいとこだと思う。体温のある右手があったかい。やだやだいってたのに、スクアーロってば腕まくらまでつけてくれちゃったし。ほんと、底なしにやさしい暗殺者だよ、きみ。 「起きたら紅茶いれてあげるね」 「忘れんなよぉ」 「忘れないよ。…おやすみ」 「おう」 ぐっど・アフタヌーンでおやすみ あたしってほんとしあわせ者だと思う、 090817 桜さん、参加ありがとうございました:) |
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