拍手御礼
□意外なクリスマス
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手が温かい。
意外なことに、イブからクリスマスの間の時間は何事もなく。
昨日から一緒にいる烈火と手を繋いだまま、リビングで寝ていたようだ。
寝転がって、寝室から引っ張ってきた毛布に包まりクリスマスの朝を迎えた。
水鏡の右手を握ったまま眠っている烈火に、小さく声をかけるが反応はなく。
余り見ないその寝顔を、しばらく眺めていることにした。
「…んー」
気配を感じたのか烈火が半分目を開ける。
「……烈火」
「…ん……」
起きているのか寝ているのか分からなくて、少しおかしい。水鏡は小さく笑った。
烈火は身じろぎし、水鏡の身体を抱えなおすと彼の額に唇を落とす。
「おはよう」
水鏡はその声に瞬きで返事をした。抱えられた体が温まり、再び眠気が襲ってくる。
「水鏡」
呼びかけに顔を上げると、髪を撫でられ唇にも触れられた。
ゆっくり重なるだけのそれに目を瞑っていると、気配が離れる。
「…」
目が合うまで離れ、烈火が微笑むと今度は深く重なってきた。
「…っん…」
握られている手にも力が込められて。
でもいつもより優しく味わう口付けに、全身が浮くような感覚に襲われる。頭を抱えられ、奥まで強請る烈火に何故か嫌な気分はしない。
水鏡は空いている左手を烈火の首に回そうとしたが、軽く違和感があった。
「……」
水鏡からの口付けが止まって、烈火は唇を離した。
水鏡の視線は烈火ではなく、自分の左手。
「…メリークリスマス、水鏡」
「…ぁ……」
そこには銀色に光る、綺麗なリングがあった。
End.