小説

□晴れ、ときどき雨。
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油断してたら 大雨が降って

傘も持たずに出てきたことを 後悔する





晴れ、ときどき雨





バラバラと音を立てて降り出す雨に、水鏡が布団に包まったまま呟いた。

「泣いてるみたいだな」

完全に閉じられたカーテンを見つめている彼の顔を振り返ると、酷く遠く感じた。
烈火は無意識に手を伸ばしていて、水鏡の緩やかな髪に触れると静かな声は続く。

「お前には、聞こえないか」

それは、地面に打ち付けられる雨音の事か。それとも……。

舗道は雨を吸い込むことなく、跳ね返し流していき。
降り出した時の音とは、違っていく。

ザアザアと響く音を聞きながら、烈火はゆっくり言った。

「でもさ」

髪に触れていた手が、優しく水鏡の頭を撫でる。

「たまには、泣いてもいんじゃねぇ?」

「…」

水鏡の瞼が閉じられた。

「晴ればっかじゃ、空も、俺らも疲れんだろ」

烈火は水鏡の瞳を片手で覆い、言葉を続ける。

「……大丈夫。俺、雨、嫌いじゃないし」





晴れが好きでも、雨だって

その割合は


愛しく、ときどき






END.

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