くすんだ艶色

□責
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「先生ぇ・・・まだそれ終わんないんですかぁ?」
ルークの言葉は明らかに急いていた。その中に甘えが雑じっているのを私は解っていた。

「そっくり同じ言葉を私は6分前に聞いたよ?ルーク」
冷静を努めて机の前で筆を走らせてはいるが、正直内心はかなり複雑ではあった。

「・・・・・・早く・・・それ終わらせて下さいよ・・」
痺れを切らし、私の空いている左腕に強くしがみ付いてくる。

「ルーク・・・・いい子なのだから、今日はもう眠りなさい?」
「・・・・・・・・・・・・・・うぅ〜〜〜・・もう別に悪い子でもいいですからぁ〜〜〜・・・」

更に強くすがってのその台詞・・・


いよいよ、さすがに頭を抱えたくなってしまった。


「だってこの何日もずーっと研究ばっかり・・・ここまで相手にされないのは初めてですよ?・・・もう・・・限界ですよぉ・・・」
私を見るルークの目に、色があるのは明らかだった。

以前の私なら今のこの目を前にして相手にしない等、到底有り得ない程の愚か者だった筈だ。
だが今ではそんな自分に・・・愛恋の名に感けてこの子供を必要以上淫欲で犯した軽率な自分に・・・・・・かなり遅いながらだが、悔いていた。

その結果が、このルークの目に映る潤んだ様な色。


私を呼んではまだ腕にすがってくる・・・・・・、
・・・だから、私は機転を思いつきルークに言った。




「そこまで言うのならルーク・・・・・・私の気分を向けてごらん?」




ルークは、何を言われたのか・・・と首を傾げている。

「何事も無いようにこの資料を書き上げて床へと寝入る私を、君が望むような気分に・・・
君を犯したいと思える気分になるように・・・
君が私の気分を向けてごらん。」


私の言葉の意味にルークが恥ずかしさに顔を赤くする。

子供に相手の慾を掻き立てろ   ・・・勿論諦めさせる為の機転の心算だ。



・・・・・・その心算だったが、ルークは私の頬に口を寄せてきた。

私はただ筆を走らせ。(冷静を努めるのにかなり専念した。)
ルークは頬に、次に耳や首から下へと小さな唇と舌を懸命に動かしてくる。

子供に不釣合いな口付ける息の使い・・・
全て、今まで愛しさだと言い任せ、私がこの子に行い、私が教え込んでしまった行為と仕草

やはり制止するべきと思い名を呼ぼうとした口も、この子は懸命の儘に塞いでしまった。
ただ塞ぐだけでは無い・・・何度も私に責付かれた、自身ではやり慣れない舌の使いで・・・

ただただ先程の私の言葉の通りに・・・
私がこの子供を犯したくなるようにするべく、私に口付け、舌を舐め上げ続けてくる・・・





私はルークが嫌いになった訳では決して無い
寧ろ私の向ける恋情は衰えなどまるで知らない
今のこの状況でも十二分に私の理性は溺れている


私はこの自分の思考・・・もう自分自身を恐ろしく尾籠に思う



この眩暈が何を原因にくるものなのか、理解と解明はもう不可能だった






舌を放すと一筋と熱に上がった息が零れる。

私は構わず席から立った。     真意はこの場から逃れたかった。これ以上この子の懸命を受ければ自分は流されてしまう・・・情けない確証が持ってしまったからだ。


その確証に勿論、露と気付いていないルークは歩き始めていた私を止めるようにしがみ付いてきた。
背丈からして丁度腰の辺り、動きを取られるのは確かに思うが・・・ただ後ろからしがみ付くだけとは違っていた、

ルークの手が私のズボンにかかってきた、

「ル、ルーク!?いくら何でもそれは、ま、待ちなさい!?待ちなさい!!?」


さすがに・・・ここまで必死になられるとは思ってはいない。
これには内心、などとは言ってられず、私は思い切り表情に焦りを浮かばせ制止の声を上げた。

「わ、分かった!もう分かったから!充分に君の望む気分に向いたから・・・だから待ちなさい!ルーク!」

咄嗟の声は一体何に対しての分かったなのか・・・
だがその言葉にやっとルークはズボンから手を放し、そのまま座り込んでしまった。見上げてくる目にはやはり色濃い欲求が見て取れる。

「・・・・・観念したよ、ルーク」
私も病的からくる眩暈に座り込んだ。

「・・・そこまでされるとは思わなかったよ」



この言葉に頬を膨らまして返ってきた文句は、実に胸に痛かった。

「・・・先生にこんな風にされたんですから、責任は先生にありますよ・・・・・・」
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