□BR
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大好きな人の死体を目前にして泣けない俺が居る
あ、身元が分かるから遺体か

「まだ伝えてなかったのになぁ…」

苦笑を漏らして開いたままだった瞼をそっと下ろした
外傷が酷い
遠距離から何度も撃たれたらしい無数の痕
黒く乾いた血痕

痛かったよねぇ
きっと、Naoさんのことだから誰かを殺そうなんて思わなかったんでしょ

こんな状況になるなんて思いもしなかった頃はこの気持ちは伝えなくても良いって思ってたんだ
困らせたくないし、何よりも叶わない恋だから
でもねぇNaoさん、俺Naoさんが居なきゃ生きていけないよ
当たり前に俺の後ろに居てくれたのに

「Nao、さん」

名前を呼んだら返事をしてくれる気がして、
ごめん、と小さく謝って結ばれたまま色素の無くなった薄い唇に口付けて眼を閉じた


あぁ、もういないんだ


さようなら愛しいひと。


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