いなずま
□変異
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辺見「ほんと女みてーな顔だな。ゴリラみたいなやつらから差し入れもらってとじゃねーの。ジュースならおれにもちょーだい。」
佐久間「やーだよっ。うらやましかったら俺みたいにファン作ったら」
辺見「けっゴリらになるためのプロテインか」
佐久間「へんみのばかぁ!」
へんみの背中をぼかぼからなぐりながら、もらった飲み物を飲んだ。
自他認める女顔。身体は筋肉がつかないひょろっと体型。正直源田や寺門が羨ましくかっこいい。
それにしてもこのプロテインくそまず・・・・
辺見「女だったら彼女にすんのにな」
佐久間「だまれよはげ。彼氏にしないから」
「おーい練習はじまるぞ」
佐久間「源田ぁーはげがからかってくる」
源田は俺と辺見の頭にぽんと手をおくと仲良くしろと一言。そりゃあ源田さんは男前なので、女顔なんていわれる気持ちわからないですよーだ。源田に頭をつかまれグラウンドに連行された。
辺見「お熱いことですって。な、なるかみ」
成神「・・・・・は?」
鬼道「おいそこペースおそいぞ!」
一同「はいっ」
佐久間「はぁはぁ、なんでこんなに今日はきついんだ。」
もう倒れそう。横を通り過ぎる仲間の顔をみるが全く疲れていない。まだ10週目。ウォーミングアップ程度だ。タイヤつけてるわけでもないのに。
週を重ねるごとに吐き気と身体の痛み、そして暑くなってくる。暑いのは走ってるからか・・・・。
鬼道「おいだいじょうぶか?顔色わるいぞ。」
後ろから13週目の鬼道が喋りかけてくる。
佐久間「まだ走れる。明日試合だし今練習しないと」
鬼道「試合前だからこそ無理するな。体調管理はしっかりしろ。いいから休め」
佐久間「あっ・・・・。」
鬼道「佐久間!?」
ガクンと落ちる足。目の前が真っ白になる。血の気がどんどんひいている感覚。
鬼道に肩をかりながらベンチに座る。
鬼道「とにかく安静にしておくんだ」
滝のように流れでる汗。身体はどんどん熱くなる。悪寒。なんだよこれ・・・。
佐久間「寒い。ジャージがほしい。
」
すでに迷惑はかけているからこれ以上はと思い一人よろつきながら部室へいく。途中ジュースを差し入れた生徒が現れた。
「なーんだまだ元気なんだ」
なんのことだ。と思ったが喋るのもしんどく、意識朦朧なおれはそいつを無視しジャージめざし部室へ。
ユニフォームは汗でびちょびちょだったので肌の上から直接ジャージをはおることにした。飲みさしのプロテインで喉を潤す。
佐久間「明日の試合はでれないな
」
並べた椅子にころびながら色んなことを思い浮かべる。今頃なんの練習してんだろ・・・・。
佐久間「痛っ」
寝返りをうつと胸に激痛が走った。脈がまた早くなる。噴き出す汗。身体が痛い。誰か・・・助けて!
そしておれは気を失った。
鬼道「・・・い!・・・・おい!だいじょうぶか?」
佐久間「ん・・・・」
ぼやーとした視界にはゴーグルが写った。
佐久間「すまない。気絶してとみたいで・・・・もう大丈夫。眠ったおかげでましになったよ。」
むくりと上体を起こし、どさくさにまぎれ抱きつこうとすると鬼道は顔を背け身体を押しかえした。
風邪かもしれないもんな、移ると困るよな・・。そう言ってさびしい気持ちをごまかす。
鬼道「そうじゃない」
じゃあなんで・・・・
鬼道「お前、本当に女だったのか・・・・」
佐久間「は?」
理解できなかったので顔を近づけてみる。
すると耳がみるみる赤くなる鬼道。そして俺を指差す。
指された箇所をみると今までになかったものが・・・
鬼道「胸を隠せ」
ドンキでうってるボディスーツ的なものか?
しかし脱げる気配はない。というか自分の肌の感触がある。こしょばいような痛いような・・・・。
だんだん恥ずかしくなってきた。
佐久間「鬼道おれどうしたら・・・・」
鬼道「まず・・・・胸を・・・・」
男子校育ちの俺たちには少し刺激が強すぎた。見てはいけないような、みたいような・・・。
佐久間「鬼道、このこと誰にもいわないで・・・・」
鬼道「あ、ああ」
佐久間「あと俺男だからな。去年合宿で一緒に風呂はいったろ!」
こんなこと誰かに知られたら恥ずかしい。女顔どころじゃない、ほんとうに女の子に・・・なっちまった。
佐久間「胸、ばれるかな。」
鬼道「さらしでもまけばましになるかもな。はやく治るといいな。」
うん。
でもこれ病気じゃないし。
鬼道「今日は帰れ。明日はこい。」
うん。
こんな状況下冷静な自分たちに感心する。
俺は荷物をまとめるとさっさと帰った。